第7回〈体験ツール研究会〉の報告

日時◆2008年11月22日(土曜日)
  ◆10時00分〜
会場◆栃木県立美術館 集会室

参加◆一般の方   1名
  ◆高等学校教員 1名
  ◆美術館学芸員 4名
  ◆合計     6名

 2008(平成20)年11月22日、第7回〈体験ツール研究会〉が栃木県立美術館の集会室を会場に開催されました。
 今回は、前回の研究会で提示された「触れるツール」の内容を踏まえて、各々が新たに考えてきたいくつかのアイデアについて検討しました。

アイデアの検討中

【今回の議題】

■「触れるツール」の新しいアイデア1

展示台型「触れるツール」

展示台型「触れるツール」

◆栃木県立美術館の島氏から、展示台型「触れるツール」の概念模型が提案された。

◆中心の三角形の部分に、ベンガラなどの顕色材(原料)を置き、そこから三方に伸びる四角形の根元の部分のそれぞれに、展色材としての膠、リンシード、アラビアゴムなど、溶剤を配置する。

◆さらに、三方に伸びた四角形の先端には、紙や絹、カンヴァスなどの基底材(媒体)に原料を溶剤で溶いて塗ったものを貼って、原料と溶剤と媒体の関係性を一目で理解できるようにするとともに、それぞれを実際に触ることも可能にする。

アイデア・スケッチ

アイデア・スケッチ

■「触れるツール」の新しいアイデア2

◆もう一つ、島氏からは、おみくじ型「触れるツール」も提案された。

◆普通の割り箸の先端の一方に、「触れるツール」のための素材を貼り付けて作成する。

◆おみくじのように、「触れるツール」のための素材を貼り付けた先端部分を箱に入れて見えないようにし、外に出ているもう一方の先端を選んで引く。

おみくじ型「触れるツール」

おみくじ型「触れるツール」

◆美術作品の鑑賞に関心を持ってもらうための「つかみツール」としての活用も考える。

◆次回の研究会までに、おみくじ型「触れるツール」と、前回の研究会で提案された立体的な樹形図型「触れるツール」を、ぞれぞれ、小杉放菴紀念日光美術館(田中)と、栃木県立美術館(島)が作成することとする。

いろんなアイデアの検討中

いろんなアイデアの検討中

■宇都宮美術館から「あーとネット・とちぎ」へのお願い

◆第2回〈体験ツール研究会〉で、宇都宮美術館から「あーとネット・とちぎ」に対して協力を依頼された「小中学生による学校収蔵品再発見プロジェクト Re+Collections」の事業の進展に関する報告があり、改めて、協力の内容が検討された。

●夏の間に、宇都宮市内の小中学校60校の悉皆調査を行ない、計 378点の所蔵作品を確認した。

ジャンル 点数 作者
日本画 48点 島多訥郎、五十嵐勝雲、田村耕二など
油彩・平面 140点 谷田部康幸、杉山吉伸、澤村三郎など
水彩・素描 32点 益子洋、高橋敏行、鈴木正行など
版画 31点 内田進久、坂本好一、坂本富男など
彫刻・立体 54点 佐伯留守夫、日原公大など
陶壁画 32点 米陀寛、藤原郁三、佐伯守美など
工芸 26点 平川晋吾、吉田喜彦など
14点 癸生川天遊など
グラフィック 1点 ちばてつや

●各学校の所蔵作品を「鑑賞」の授業などで活用するため、汎用性の高いツールを作る。

●鑑賞のためのツールの形態は、PDFのデータにしてCD−ROMで配布できることが前提となる。

●鑑賞のためのツールは、学校で使用されることを念頭に置き、「評価」の方法についても、できるだけ指標を示す。

●これまでの研究会の成果を生かし、以下のような内容でツールを作成したい。

ワークシート 1.テンプレート・タイプ
2.巻物のような、手を動かすタイプ
投げかけキャプション 1.作品の近くに掲示するタイプ
2.絵葉書で差し替えできるタイプ
体験ツール、素材ツールをどうするか?

●ツールが出来上がったら、学校展覧会の中で、それらを使用した鑑賞ワークショップを開催するので、ファシリテーターを研究会のメンバーにお願いしたい。

●今後のスケジュールとしては、これまでの研究会で提案されたアイデアを実現化・量産化する方向でデザイナーとの協議に入り、3月に開催する鑑賞ワークショップにおいて、実際の作品の前でワークシートに取り組んでもらい、改善点や授業での運用方法について話し合う。その後、話し合いの内容を踏まえてデザイナーと修正作業を行ない、4月に、PDFファイルにしたものをCD−ROMに収録して配布する。


■次回の研究会

◆次回は、年明けの1月9日(金)に、「あーとネット・とちぎ」全体の懇親会と一緒に開催することとし、今回の研究会でアイデアとして提示された「触れるツール」を実際に作成して持ち寄ることとした。