第6回ワークシート研究会の報告

日時◆2006年12月9日(土曜日)
  ◆16時30分〜17時30分
会場◆栃木県立美術館 普及分館

 2006(平成18)年12月9日、第6回ワークシート研究会が栃木県立美術館の普及分館を会場に開催され、大学関係者4名、高等学校関係者2名、中学校関係者2名、小学校関係者3名、美術教育関係者1名、美術館関係者4名、計16名の参加者がありました。
 今回は、栃木県立美術館で開催中の企画展〈とちぎ美術探訪−県内ミュージアムが誇る日本絵画の名品たち〉において実際に使用されたワークシートを題材に、目的とのズレや問題点を検証し、今後のワークシート作成時の参考とするための討議が行なわれました。

当日の様子

【今回の議題】

■討議の対象

●話し合いの中で、主な素材となったのは以下の3つ。

01 現在、配布中のワークシート

02 大学院生がワークシートを分析し、特徴を数値化・レーダーチャート化したもの

03 中学生(選択美術)が実際に使用したワークシート

■課題の実例

▼前田青邨《山霊感応》
……「解説を読んでしまい、絵をよく見なくなる恐れがある」
……「自分で絵を描く面白さがある」

▼歌川広重《駿河三保ノ松原図》《甲斐大月原裏不二図》
……「富士山の裏と表については静岡と山梨で意見が違う。慎重になりたい」

▼狩野探幽《釈迦三尊像》
……「釈迦三尊像のワークシートはデザイン処理が上手で取り組みやすい」
……「作品をよく見ないと答えられない設問になっていて良い」」
……「仏画なので「象に乗っている人」という言葉使いは適切ではない。注意したい」

▼小杉放菴《蒼海》
……「技法に注目させるなら、もう少し問いかけを練るとよい」
……「誘導的になるのは避けたい」
……「作品の中の海鵜に自己投影させて話し合いをさせることもできる」

▼川上澄生《たばこ渡来記》
……「ヒントの出し方にもう少し工夫が必要かと思われる」
……「作品に書かれている文章の口語訳は、作品理解に役立つ情報となっている」

■討議の内容

●全体として、手に取ってもらうための取りつき易さや、デザイン面での配慮が重要ではないか。
●今回の分析で使用した「鑑賞行為」という指標は、ワークシートの作成や評価の際に参照できる一つの例であるが、その他のアイデアも考えていければよい。

■その他

●前回の研究会で検討された、小杉放菴記念日光美術館で開催中の〈画家がいる「場所」−現代絵画のなかの記憶・風景・身体〉展のワークシートが完成し、今回の参加者に配布された。
……「トレーシングペーパーの特徴が十二分に生かされている」
……「デザイン的にもすっきりとしている」
……「プリンタで印刷するのがたいへんだった」(作成者・談)

■次回までの課題

◆県内の美術館の所蔵作品を対象に宇都宮大学の大学院生が作成したワークシートを講評する。